印鑑のウンチク

落款印のイメージ

日本最古の金印

金印(きんいん)は、読んで字のごとく黄金で作られたハンコです。 古代中国では、諸王や諸侯などが持っていたとされています。 そして、福岡市で発見された日本最古の金印は、「漢倭奴国王印(かんのわのなのこくおうのいん)」と言われています。 歴史の授業で習った気がしませんか?

朱肉の起源

朱肉(しゅにく)が誕生したのは、中国宋代の頃だと言われています。 朱肉が誕生する以前は泥を用いていたとのことで、朱肉の別名が「印泥」であるのはその由来からきたようです。 また、古代中国では、朱色は高貴の象徴でした。他にも「祝」などの意味も含んでいたようです。

封緘(ふうかん)

封筒の裏の封をしたところに、読めない漢字の印鑑が押してあるのを見たことがあると思います。 あの印にはどんな意味があるかご存知でしょうか? あれは、行書体という書体で、「緘(かん)」と印してある場合が多いようです。 これは、「担当者以外開封禁止」という意味があるようです。

落款印(らっかんいん)

年賀状や書画、掛け軸などに、風流な味わいのある印があるのを見たことがあるかと思います。 あれが落款印です。 落款とは、落成款職(らくせいかんし)の略語であり、書画作品が完成した時に、作成日や作者名を記すもののことを言います。 印そのものを落款と呼ぶこともあります。

花押の印

花押(かおう)と言うと、押し花を想像するかもしれませんが、押し花ではありません。 古文書で、自分の発給したものであることを証明するために書く記号のことを言います。 本来は、自署に代わるものでしたが、鎌倉時代以後は署名の下に書かれることも多くなりました。 室町時代頃からは、印章として印すものも現れました。
ちなみに、「押」という字には「署名する」という意味があり、「花押」は「美しく署名したもの」という意味になります。 最近では印鑑の代わりに花押を印す政治家の方もいるようです。

蔵書に印を捺す

「蔵書」とは、書物を所蔵していることや、書物そのものを意味します。 そして所有を明らかにするために、蔵書に押した印影は、蔵書印(ぞうしょいん)と呼ばれています。 書物の初めの扉のページ、もしくは最後のページに捺印するのが一般的です。
これら蔵書印の形は多種多様ですが、その歴史は非常に深く、江戸時代頃だと言われています。 書物が普及するようになってから、独自の印影が作られるようになったという説があります。

お札にある印影

皆さんは、お札にはんこの「印影」がプリントされているのを知っていますか? これは、「総裁之印(そうさいのいん)」、その裏には「発券局長(はっけんきょくちょう)」との印影が押されているのです。

世界の中の「はんこ」

「はんこ」の制度は、西洋から伝わってきたと言われています。 「旧約聖書」の中にも、実印や認印の制度についての記載があります。
現在では、世界の中で「はんこ」を使用しているのは、日本・中国・台湾・韓国の4ヶ国だけで、中国では公印のみに使用されています。